だから私は雨の日が好き。【春の章】※加筆修正版






シャワーは朝浴びる。

寝た後にかいた汗が肌を伝うから。

代謝がいい、というと聞こえはいいが、自分はただの『汗かき』なのだと自覚している。




髪が伸びたな・・・と思う。

久しく肩を越して髪を伸ばしていなかったから。










『短い髪がよく似合う』










耳に残る、低くて落ち着いた声。

表情にあまり感情を出さないので、声の感じで想っていることを伝えようとしていた。

自分の内面をにじませるその声を、聞き分けられるようになるには時間が必要だった。






遠い、昔の記憶。






お風呂の鏡が湯気で曇る。

シャンプーを擦り付けてお湯をかける。

少しでも曇らないようにするけれど、結局曇ってしまうことを知っている。



自分の伸びた髪を見て、過ぎた時間をしっかりと噛み締めたいのに。