いつかきっと、貴方と初めての恋を



支度を終えてローファーを履き傘を持って勢いよく家を出た。



外を出ると湿った空気が鼻をかすめる




雨が音をたてながら上から下へ落ちていくのを、ぼんやり眺めて



「髪せっかくやったけど崩れちゃうなぁ...」



自分にしか聞こえない程度の声でボソッとつぶやく




私は傘をさして歩き始めた。





地元の駅までの道を歩いていると誰かに後ろから声を掛けられる。



「....結衣か?」



懐かしい声が聞こえて思わず振り返ってしまった。




「は...春にぃ」




大矢 春【Ooya.haru】



焦げ茶色の髪に表面がフワッとしてる髪型で、あまり飾らない所が大人っぽい。




春にぃは昔から格好良くて何でも出来る上に優しいから凄くモテる。




家が近かったから、小さい頃から一緒で幼なじみでもあり歳が二つ上で面倒見の良いことから、春にぃは私を本当の妹みたいに可愛がってくれた。




お母さんが仕事で帰って来ない時も春にぃが家まで来て、私を遊びに外へ連れ出してくれたお陰で寂しい想いもあまりしなかった。




私の一番の理解者で信頼出来る人だ。




だから春にぃには、どんな些細な事でも話していた。



...けど春にぃが高校生になってから、しばらく会うことはなかったし私と違う高校だったから今日久々に会ったんだ。




それに、春にぃには彼女という大切な人がいたから...




「やっぱり結衣か!・・・久しぶりだなぁ...元気してた?」



嬉しそうに笑いかけてくれる些細な事に胸が高鳴った。



「久しぶりだね。驚いちゃった....元気してたよ」



私も笑って答えた...


つもりだった。



「・・・結衣。何かあったのか?....話なら聞くよ」



春にぃは急に真剣な顔になって聞いた。




本当に春にぃには嘘がつけない....というより直ぐにバレてしまう



「うん...あったよ。...けど、春にぃには関係ないと思うから。」



少し酷い言い方をしたけど本当の事だから。



私の事なんかより自分のことがあるだろうし・・・





「なんだよそれ...、今まで俺がどんな想いでっ」



声をあらげて言うけど私には言葉の意味を理解する事が出来なかった。




「・・・ちょっと結衣こいっ」



そう言い腕を掴まれたけど私は春にぃの手を振り払った。




体が春にぃの手を拒んだんだ。




別の人に触れている手で私に触れて欲しくなかったから....




「え・・・」



春にぃの顔が今まで見たことないくらいに歪んでいて悲しい顔をしていた。




なんで...



なんでそんな顔をするの?