「え...あ、ちょっ付き合ってるの?...私何も知らなかったよ」
「...そうね。仕事で帰って来られなかったから、伝えそびれちゃったの。ごめんなさいね」
また仕事か...。
しょうがないの...かな
「あ...あのさっ...二人は真剣に付き合ってるの?」
その返答次第で私の生活は変わる。
ただ付き合ってるだけなら、さほど気にする必要はない
お母さんと男の人は顔を見合わせてから、
「そうね、...そのつもりよ」
う...うそー・・・
信じられないよ。
「じゃ...じゃあっ二人は結婚するってこと?!」
私が大きな声で言うと、お母さんの代わりに男の人が話し出す。
「もちろん今そのつもりでお付き合いさせてもらってるよ。...けど結衣ちゃんの気持ちもあるわけだし、僕達だけでは決められない事だからね。・・・・それに実は僕も恭子さんと一緒でね...一度妻と別れているんだ。・・・結衣ちゃんと同じ歳の息子もいる」
一変に色んな事を聞かされたもんだから頭がついていかない。
私が黙っていると、
「...結衣?急に色々聞かされて困ったと思うけど...お母さん達、本気なの...考えてくれないかしら?」
「僕の息子は恭子さんとも会っていて結婚に賛成してくれている。・・・無理にとは言わないから結衣ちゃんにも真剣に考えてほしい」
二人は一生懸命話してくれているけど...
お母さんが結婚して
私にお父さんが出来る?
同い年の兄が出来る?
全てが嘘のように聞こえた。
「・・・少し考えさせて」
二人の事を心から笑って祝ってあげたい
・・・けど、
これが私の精一杯の返事だった。
