「ちょっ....待ってよー!」
「..........」
後ろから慌てた声が聞こえたが
止まるどころか振り返ることもなく気にせず先に歩いた。
今思えばこの時止まっていれば、
俺は何も知らずにいただろう。
こっちに走って向かってくる足音が後ろから聞こえたのを
ウザいなと感じながらも仕方がないと腹をくくった時だった。
「待ってってばぁー...ひっく...ん....ぅ...」
さっきまで騒がしかったあいつの声がパタリと聞こえなくなったと思ったら、バタンと人が倒れる音が聞こえてきた。
急に静かになったのを不審に思い恐る恐る後ろを振り返ると、
道にはなにかを囲うように既に人だかりが出来ていた。
「まさか....な」
嫌な予感がした俺は思わず言葉を口にしていた。
ー誰か!...早く救急車呼んで!
そんな緊迫した声が響いている。
ーあっ...はい!
急に起きたことに回りはついていけていない。
ゆっくりと人だかりを掻き分けて進んでいくと
その中心に倒れている子が目にはいる
「...嘘だろ」
初めて目にする光景
驚きからなのか、それとも恐怖からなのか
俺の声は震えていた。
そこには、
真っ青な顔をした桐谷杏奈が頭から血を流して倒れていた。
