「大丈夫か?」
「はい…。」
やっぱり風邪だった。こいつを自分の部屋に連れてきて看病をしていた。今はちょうど熱が下がったところだ。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったな。」
「あ…!すみません…。」
「別に構わないさ。で、名前は?」
「莉々野雪です。」
「歳は?」
「18です。」
「学生か?」
「あ、はい…大学生です。」
「どこの学校だ?」
「錬帝学園…です。」
質問責めにしすぎた感がある。
……ちょっと待て!錬帝学園って金持ち学校じゃねぇか!両親がいないのによくその学校にいられるな!!
「莉々野!!」
「はい!?」
「錬帝学園って…なんでそんな学校にいられるんだ?!」
「わ、私の母が理事長の親友で小さい頃からよくしてもらったんです…」
「だから、いることができるのか。」
「はい…。」
こいつの母親が理事長の親友……ちょっと会ってみる必要があるな。多分。
それに気になるのはこいつが今住んでる親戚の家だな。
「莉々野、お前が住んでる親戚の家の名前はなんだ?」
「あ、えっと……茨木さんです。」
茨木……俺に借金してるやつじゃないだろうな…
「莉々野…その茨木って茨木晋二か?」
「あ、ご存じなんですか?」
「借金してるやつだ。」
「え!?」
「…知らないのか?」
「何も話してくれないし…それに親切で…優しくして…くれて…それから…それから…」
莉々野の肩が震えだした。顔を覗き込むと目に涙をうかべていた。
俺は莉々野の顔を見ていると心が痛くなってきた。だから、優しく莉々野を抱きしめた。
「何かされてるのか?」
「……言ったら何をされるかわからない…」
「莉々……っ!」
かすかに見えていた足から打撲のような傷が見えた。
まさか、こいつ茨木に暴力をうけてるんじゃ…。
そんなことばかりが俺の脳内をグルグル回っていた。