王子が猫に恋をした

温もりも、熱いくらいに感じる。

嗅ぎ慣れた惟人の香りが、鼻をくすぐらされる。


しばらくしてやっと、惟人に抱きしめられているんだと悟る。


「惟人、様」


恥ずかしさが襲ってき、離してという意味を込めて惟人の体を押すが、意味無し。


惟人の優しい、ゆっくりとした声が耳に響く。


「大丈夫。莉笑がどんなであろうと、オレは莉笑の事を好きでいる」


この人なら大丈夫ーーーーーーーーーー?

そんな考えが頭を横切ったが、ーーーーーーーーーーダメ。


そんな事言ったって、絶対傷つかれる。

私は、その顔をもう見たくない!