王子が猫に恋をした

聞いたことも無かったし、惟人様に興味など一切無かったから、惟人様の事は全く知らない。


お世話係なんだし、惟人様のこと・・・・・・知っておいた方がいいのだろうか?

・・・・・・でも、いいや。
面倒くさいことになったら嫌だし。

年齢くらいで、いっか。


「惟人様っておいくつですか?」

笑顔で聞く莉笑。


どうせ、この笑顔が偽物だとは、きっと惟人様は気付いていない。

私が猫かぶりをしないで接せられる人なんて、あの人だけでいいのだから。


惟人がちょっと呆れた顔をし、莉笑は少しムッときた。

「オレは十七だよ。高二。てか莉笑、オレの歳ぐらいは覚えててよ・・・・・・」


悲しい呟きが聞こえたような気がしたけど、気のせいだったことにしよう。