王子が猫に恋をした

莉笑の静かな口調に、惟人は宙を見つめながら答える。

「そうかもね」

あまりに素直すぎる惟人に、莉笑は少し驚いた。


「だったら「でも」」

莉笑の言葉をさえぎって、惟人が続ける。


「オレは、政略結婚なんてするつもりはないよ?自分の選んだ人と共にいたい」

「っ!」


惟人の眼は、強い光を宿していて。


その意志は、簡単に曲げられるようなものではないことがすぐに分かった。