王子が猫に恋をした




こともなく、惟人に向かって淡々と言った。




「そんなにキスがしたいのなら、鏡を見ながら自分にキスをしたらいかがで

すか?」


「ヒドっ!!」




本来ならば、ここでキスするだろ?!と思いながら、惟人はむくっと起き上が

った。




「ちぇっ、いいじゃん、別にキスくらい」




莉笑は首を振って、




「良くないです。それより………この様な命令は控えて下さい、と申しませんで


したか?惟人様」




けれども惟人も「聞いてない」と首を振って、ベッドから立った。




「あの時はあの時。今は気持ちが変わってるかなー、と思ったんだけどね……」