一人で来たと思われる私たちよりも少し、幼げな女の子。 その子を中に通して、椅子に座らせる。 私もピアノ椅子に座って準備をする。 その時ひそっと拓人に耳打ちされた。 「そろそろ時間だから手加減してあげてね」 「わかってる」 歌を本気で歌わないなんて、私のプライドが許さない。 だけど、時間も時間だしなぁ・・・。 しかたない。 私は鍵盤に手を置き旋律を奏でる。 その旋律に合わせて歌声を乗せた。 歌うのが楽しくて、対決のことなんて忘れるくらい思いっきり歌っていた。