耳元から流れてくるのは、最近はやりの曲。
別に特別好きなわけでもないが、聞き流すのにはうってつけである。
ちらっと隣を見ると一応机の上に、ノート、参考書、筆記具を出している拓人。
しかし、それらの上には微かにだがお菓子のカスが零れ落ちている。
先生もよく気付かないよな。
・・・あぁ、そっか老眼なのか。
そんな先生はさておき、その先にある黒板を見る。
そこには黒板いっぱいに書かれた数式やら、業界言語やらで埋め尽くされていた。
吐き気がする・・・。
黒板から目をそらし、グランドピアノのほうに目を向ける。
綺麗な漆黒に輝くピアノ。
「綺麗だなぁ・・・」
思っていたことが声に出てしまった。
それでも先生は、こちらを向かない。
難聴者か・・・こいつは・・・・。

