「ちょっと仕事が忙しくて時間がないんだ。
ただこれは、重要な話だから直接話したくて」
ショウゴはそう前置きをすると、厳しい表情で私を見据えた。
「このキーは、この基町駅の構内にあるコインロッカーのものだ。
ついさっき、ロッカーの中に重要な物をいれた」
「重要な…物?」
「そうだ。
一連の集団自殺に関する資料を全部ファイリングしてに入れてある。
気付いているだろうが…
俺達が巻き込まれている事件は、今までの集団自殺に関わりがあることはもう間違いない。
次の雨が降るまでに、何とか解決する方法を探したいが、もしもの場合はアユにやってもらうしかない」
え…?
「え…でも、私なんかに出来るとは…」
明かに動揺する私に、ショウゴはさっきまでの険しい表情を崩して優しく微笑んだ。
「大丈夫だ。
俺が必ず解決するから、アユの出番はないよ。
あくまでも万一の場合だから…な」
それでもうつむく私に、テーブルに肘を突き顔を近付けて更に優しく言った…
「大丈夫…」
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