放課後…
私は走って基町駅に向かった。
ホームルームが長引き、約束の時間に遅れそうだったのだ。
ほとんど全力で走ったが、駅前に着いた時には約束の時間を少し過ぎていた。
「ショウゴはもう来てるだろうな…」
駅の構内に入り改札口に向かうと、ホームの入口に仁王立ちしているショウゴの姿が見えた。
「ごめんね…
学校終わらなくてさ」
遅れた事を怒っているのか、ショウゴは一言
「来てくれ」
と言うと、私に背を向けて無言で歩き始めた…
そしてそのまま真っ直ぐ進み、駅の中にある喫茶店に入って行った。
「実は渡しておきたい物があるんだ…」
ロータリーに面した明るい喫茶店の一番奥の席に座ると、唐突にショウゴが言った。
「は…?」
そして全く状況が分かっていない私の前に、番号札の付いたキーを置いた…
番号札が付いているところを見ると、ロッカーのキーなのだろうか。
ショウゴは手を挙げてウェイトレスを呼ぶと適当に飲み物を注文し、急いでキーについての説明を始めた…
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