電車を降り改札を抜けると周囲を見渡した後、誰もいない事を確認して傘を開いた。
そしてすぐ、小走りで自宅に向け一直線に帰った。
途中の赤い橋を渡る時、なぜか歩道から下を覗き込んだ。
この辺りの川は海に近く、潮の干満で水位が変化する…
今はちょうど満潮らしく、雨で茶色に濁った水が緩やかに海へと流れていた。
今この川に落ちたら間違いなく海まで流され、しばらく見付からないだろう…
私は変な事を考えている自分にハッとして、周囲を見渡すと自宅までの道を走った。
「ただいま」
帰宅するとすぐにダイニングに向かい、地域放送局のワイドショー番組を見ていた母に聞いた。
「明日の天気は?」
「明日の昼前まで雨が降るって言ってたけど?」
テレビを見ながら返事をする母は、当然雨に関心などない。
「それじゃあ、今晩もずっと降るんだ…」
「そうだけど。
それがどうかしたの?」
「ううん…別に」
私は天気予報を確認すると、自部屋に上がった。
今夜も間違いなく雨だ…
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