空模様をうかがいながら駅へと急いでいると、駅まであと500メートルくらいの所でポツリポツリと雨が降り始めた…

持って来た白い傘を開くと、あっという間に歩道が雨に濡れ真っ黒になった。


「雨か…」


駅前まで辿り着くと、運悪くあと少しの所で信号が赤に変わった。

この時間の駅前は、下校中の学生などが多く、信号待ちの人はどんどん増えてきた。


駅前通りの信号は長く、なかなか変わらない…

何気なく駅の正面に取り付けられた巨大な電光掲示板を見ていると、突然首筋に氷を押し付けられた様な強い冷気を感じた。

そして次の瞬間、何者かが耳元で囁いた…



「あなたの順番は、もう少し後よ…」



条件反射の様に全身に鳥肌が立ち、背中に凄まじい悪寒が走る…

それでも、私は勇気を振り絞って振り返った!!



しかし…
私の背後にはサラリーマン風の男性が立っているだけで、女性の姿はなかった。

気のせいだったのだろうか…


その後すぐに信号が変わり、私は駅へと急いで入って行った。


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