その足音は、やはり階段を上がっている…


床を踏み締める音が、少しずつ大きくなってきた。



ミシ…

ミシ…


母が私の様子を見に来たのだろうか…?

その足音は階段を上がり切ると、突き当たりにある私の部屋へと、間違いなく近付いてくる…


ミシ

ミシ

ミシッ


そして、部屋の前まで来るとその音がピタリと止まった。

入っては来ない…
母が扉の外から、私の様子をうかがっているのだろうか?

私は音を立てない様に静かに立ち上がると、部屋の扉まで歩いて行き、扉に耳をあてた…


すると…
扉の向こう側から、間違いなく誰かの呼吸音が聞こえてきた。


スーハー…

スーハー…


やはり母がパソコンで遊んでいないか、チェックしに来たのだろう。

コソコソしなくても、直接私に聞けば良いのに…


私は茶色のドアノブに手を掛けると、グッと扉を引っ張った。


「大丈夫。
ちゃんと勉強して……」


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