ひとまずホッと胸を撫で下ろした私は、バスに乗って帰宅する事にした。

このデパートに隣接するバスセンターからだと、時間はかかるが直通で自宅近くを通るバスがある。


雨上がりの歩道を少し歩くと、すぐにバスセンターに続く長いエスカレーターがあった。

私はついさっき起きた、カラオケボックスでの出来事を思い出していた…



どう考えても、途中で外部から侵入して来たとは思えない。
それにあの雰囲気と現象は、普通だとまず説明出来ない…

となると、信じたくはないが霊?
しかも、5人同時に連れ去ろうとするとは、最悪の怨霊としか思えない。


目を閉じるとハッキリと思い出す、あの長い髪の間から見えた青白い唇…

忘れ様にも忘れられない、あの薄ら笑い。


私は思い出すだけで、背筋が寒くなり、足が小刻みに震えた。



ほんのすぐ最近まで、死にたいだの考えていたが…

リアルに死に直面すると、そんな事など微塵も考えられなくなった。


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