私の通う学校は、市内ではもちろん、県内でもトップクラスの県立高校だ。

市内の中心にあり、自宅からは電車で1駅。
そして駅から、徒歩15分程の場所にある。


私は黒の、今時珍しい昔ながらの制服に着替えると、いつもの様に自宅を出た。



いつも利用する駅は新町駅で、大型ショッピングモールが近くにある為、意外と混雑する。


私は行き交う人達とすれ違いながら、いつも思っていた。

朝から疲れた表情で、一体何の為に、どこに行くのだろう…


電車に乗ると、ほんのわずかな乗車時間にも関わらず、居眠りするサラリーマンの姿。

私はもうすぐ卒業する…
あんな大人になるくらいなら、このまま時間が止まってしまえば良いのに。



「……基町、基町に到着します…お降りの方は……」


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