「亜由美!!
いつまでも起きてないで早く寝なさいよ」


階下から少しイラついた母の声が聞こえてきた。
パソコンの画面の右下にある時間を見ると、23時を少し回っていた。


まだ、そんなに遅いという程の時間でもないけど…

うちは母親が結構うるさいから、言う事を聞かないとインターネットの回線を解約され兼ねない。


「今から寝るところ!!」

家中に響く程大きい声で、天井に向かって返事をした。



そんなに不満は無い。

だけど、この平穏な環境を少し変えたいとは、ずっと思っていた。


名門と言われる高校に、言われるまま入学し…
反抗期らしい反抗期も無く、穏やかに過ごしてきた。


自分とは、絶対に接点の無い世界に対する興味。


いや、自分の心の奥底に…

まるで少しずつ沈殿していく汚泥の様に、吐き出せない思いが、ゆっくりと蓄積されていたのかも知れない。


.