美玖は斜め前の机に座り、足をバタつかせながら私を見つめながら話し始めた。
「滝口ってさ、以前生徒と付き合ってて、クビになりそうだった事があるらしいよ!!」
「えっ!?
あの角刈りの筋肉バカが…?」
「そうらしいよ!!
姉ちゃんから聞いたから、間違いないよ。
分からないものよねぇ」
美玖の姉は、私達の2歳年上で、同じ基町高校の出身者だ。
「で、どうなったの?」
私は身を乗り出して、興味津津で美玖の方に顔を近付けた。
すると、美玖は両手を広げ素っ気なく答えた…
「知らない。
だけど、今でも独身って事は、ダメだったんじゃない?」
それはそうだ。
滝口先生が、未だに独身って事は親に反対されたのか…
それとも、教育委員会に反対されたのかは分からないが、ダメだったに違いない。
それでも、知らないってのは、少し変な答え方だ。
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