ミコは少しだけ顔を上げた…
黒い髪が顔の前に垂れ下がり、白い肌に青紫色の唇だけが怪しく浮かんで見える。
そして、その口角がフッと上がりゆっくりと動いた。
「先生…
なぜ私が雨の日に力を持ったのか、分かっていないんですね」
滝口はミコの姿に激しく動揺し、椅子ごと後方に後退りして長机にぶつかった。
ミコは窓際から一歩ずつ、滝口に近付いて行く…
そして目の前まで行くと、椅子に座っている滝口を見下ろしながら勢いよく顔を上げた。
「先生…
この私の首についたアザ…
私は覚えているんですよ。
あの日のカラオケボックスで、まだ息があった私の首を必死に締める先生の姿…
鮮明に覚えていますよ」
首を締めた?
では、滝口が集団自殺に見せかけて殺したという事…
その時、ミコが滝口の方に向かい右手を横に振った。
すると私の位置からも分かるくらい、滝口の首に紐で締めた様な紫色のアザ出現した!!
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