「まぁ、お前も卒業まで見逃してやるから、今ここで聞いた事は全て忘れろ。
分かったな!!」
滝口は薄ら笑いを浮かべながら、私を見下す様に見据えた。
私は、手の平に刺さった爪の痛みを感じない程に、滝口に対する怒りは頂点に達していた。
しかし、滝口が口にした事には何も証拠が無い…
仮に私が警察に駆け込んだ所で、事件になる可能性はまずない。
滝口もそれくらいの事は分かっていて、私に真実を語ったのだろう。
ぶつける事が出来ない怒りが込み上げ、全身が小刻みに震えた。
「先生…」
その時、私と滝口しかいないはずの部屋に、女性の声が微かに聞こえた。
「先生…」
滝口の背後を見ると、ミコが俯いたまま立っていた!!
ミコはあの時、消滅した訳ではなかったのか?
急激に室温が下がり、窓ガラスが端から徐々に曇っていく…
「ねぇ先生…」
徐々にミコの声が大きくなり、それと同時に全身が凍り付くほどの霊気が部屋中に充満した…
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