「せ、先生…」


ミコの口から思いもよらない言葉がこぼれ、私の髪の毛を掴んだ手が緩んだ。

私は投げ棄てられたゴミの様に、そのまま顔面から床に落ちた…


私は朦朧とする意識の中で、身体中の力を集め顔を上げた。
ミコが今でも先生と呼ぶのはただ一人…

あの人影はは滝口だ!!



入口から伸びる影は、徐々に大きくなってきた。
滝口が私達のいる場所へと近付いている…


「もう止めるんだミコ…」


学校では決して耳にする事はない、穏やかな優しい声。
思いやりと愛情が溢れている…

更に影は大きくなり、私達をすっかり隠すほどになった。
精一杯目を開けると、滝口の顔が暗闇にぼんやりと見えた…

もうあと3メートルほどの距離だ。



「…いで…
…ないで…

来ないでー!!」


その絶叫に、滝口の足が止まった…

私のすぐ目の前にあるミコの白い手は、強く握り締められ小刻みに震えていた。


「今さら…
今さら何をしに来たのよ!!」



今さら…何が?
この2人に一体何があったのだろう…


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