もう目も霞み、ハッキリと状況の把握さえ出来ない。
ただ、自分の身体が床にすれるザリザリという音だけが、耳に入ってきた…



もうそろそろロビーだ。

私はどんな演出により、どんな悲惨な最後を遂げるのだろう…


母さん、父さん…
美玖、彩香…
もう一度会って話がしたかった。




スーッと、湿気を含んだ冷たい風が私の頬をすり抜けた…

既に感覚もほとんど失った私は、勘違いかと思ったが更に強い風が吹いてきた。

ここは屋内で、扉も全て閉じられている…
風など吹くはずがない。

そういえば、ミコの動きが止まった様な気がするが…



「ミコ…
絶対にここだと思ったよ。
もう止めろ…
もう気が済んだだろ」

突然、ロビーに男性の声が響き渡った。


だ、誰…
一体誰がこんな所にやって来たの?


私はミコの右手にガッチリと掴まれ、ぶら下がっている顔を入口の方に向けた…

薄暗い上に、外の街灯で逆光になりハッキリとは分からないが、間違いなく男性が立っていた。


まさか、ひょっとして…


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