風に紛れて舞飛ぶ程度しかなかった水滴は、徐々にに大きくなり本格的な雨になった。
私は呆然とその雨を眺めていた。
自分が想定していた時刻より、2時間は早く雨が降り始めたのだから…
携帯電話を再度取り出し、着信を確認するが誰からも着信はなかった。
おそらく誰もこんな早い時間帯から降り始めるなんて、予想していなかったはずだ…
私の鼓動は振動となって全身に響き渡るほどになり、雨の中に混じる微かな音にも過敏に反応する様になった。
その時…
コンビニの右側の道路から、何者かが走って来る足音が聞こえてきた。
その足音の方向を見ると、1人の小柄な女性の姿が目に入った…
あれは間違いない、ユキだ!!
私はコンビニの駐車場を縦断してくるその女性に向かって、右手を振って声を掛けた。
「ユキ!!
ここよここ、私よ!!」
ユキは入口に向かって走っていたが、途中で方向を変え、私の方に駆け寄って来た。
「久しぶり!!」
ユキの姿を見て私は少し安堵した。
少なくとも、私はムダ死にではなくなる…
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