「あ…はい。
ありがとうございました」
そうだ!!
ここにお墓があるって事は、住職なら自宅の場所を知っているのではないだろうか?
「あの、住職さん…
江藤さんの自宅にも伺いたいんですが、場所は御存じですか?」
住職は本堂の方に向かいかけていたが立ち止まり、私の方に振り返った。
「江藤さんの…?
江藤さんのお宅は、横川駅の近くにある商店街の呉服屋です。
行けばすぐに分かりますよ…
早く美子さんが、離れれば良いですね」
え…
「あ…はい。
ありがとうございました!!」
私は住職と別れた後すぐにお寺を出て、横川の商店街に向かう事にした。
これなら何とかなるかも知れない…
全く見えなくなっていた道が、再び見え始めてきた。
横川駅は寺町から美玖の自宅があるマンションの方に向かって進み、大きい通りを渡った更に先にある。
徒歩で20分といったところだろうか…
この場所からだとバスを使うと遠回りになる為、余計に時間がかかってしまう。
私は歩き始めた…
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