「…本町、本町です。お降りの方は降り口までお越し下さい……」


車内アナウンスがあり停車すると、真っ先に電車から飛び出した。

電停の少し先に見える、あのデパートの大きい時計はそろそろ11時30分を指そうとしていた。


私は信号が青に変わると、急いで横断歩道を渡り地下道に入った。
この地下道を抜ければかなり近道になる。



蛍光灯だけが照らす地下道は人通りは多いものの薄暗く、その私を圧迫する空間が不安感を駆り立てる。

地下道を出た所で一応メールの有無を確認するが、やはり美玖からも彩香からも連絡はなかった。


ここからだと、あのお寺まで走れば5分くらいだ。
とにかく、今はあそこに向かうしかない!!

私は更に全力で走り続けた。



お城の堀を抜け、コンクリートの古い橋を渡ってようやく寺町に入った。

呼吸を整えながら、歩いて江藤が出て来たお寺を探す…


「あ…あれだ!!」


暗くて外観はよく分からなかったが、場所的に考えると間違いない。

私は走って道路を渡り、お寺の門の前に立った…


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