「娘さん…」

傍目にも明らかに狼狽する私を見兼ね、老婆が私の背中に手をあてて擦った。


「何をそんなに怖がっているのか分からないが…
もし良かったら、私の家にいらっしゃい。

孫が高校は違うけど、ここの子とは同級生だから、何か知っているかも知れないから」


「同級生…」

もうこうなれば、何でも良いから新しい情報が欲しい…
そこからミコの行方を探すしか、私に方法は残されていない。

私はうなずいて、老婆の後を着いて行く事にした…



老婆は城ヶ崎さんの自宅を通り過ぎると、路地を更に奥へと進んで行った。

路地は左に緩やかに弧を描くと、すぐに少し広い道路に出た。


「あそこが私の家だよ」


老婆が指を差した方向を見ると、昔ながらの小さな雑貨屋があった。

すすけたオレンジ色のビニール製のひさしに、今時珍しい木枠のガラス戸が4枚…


「子供達は勤めに行っているから、私の道楽でやっているんだよ」

老婆はそう言って笑うと、道路を横切りお店へと進んで行く…

私は急いで後を追った。


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