「小町 亜由美さん?」


助手席に座っていたスーツ姿の男性に、いきなり名前を呼ばれ驚いて立ち止まった。


その白髪混じりの中年男性は、車を降りて黒い手帳を取り出して私に見せた。

「警察なんですが…
朝早くからごめんなさいね、なかなか時間が取れないものでね」


警察…?
警察が私にいったい何の用だろう。

何の事かも分からず身を縮める私に、ポケットから白い封筒を取り出すと差し出した。


「これ…
先日事故で亡くなった北川 省吾さんのポケットに入っていてね、宛先があなたになっていたので持って来たんですよ。

いやぁ、名前しかないので探すのに苦労しましたよ」


ショウゴの…?
そういえばあの日、新しく分かった事があるから伝えておきたいと…


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