「あ、うん…
今日も美玖と一緒に勉強する約束してるから、多分遅くなると思う…」


「そう…」

母は背を向けて洗い物をしながら、返事をした。
父は黙ってコーヒーを飲みながら、新聞を読んでいた…

この見慣れた光景も、妙に愛しく感じる。


暫く、その普段と変わりない朝の情景に浸っていると電車の時間が近付いてきた。


私は鞄を持って立ち上がった。

「じゃあ、いってきます。

…ありがとね」


私はこのまま、今回の事が解決するまで家には帰らない事を決めていた。

そのくらいの覚悟がないと、ミコと対峙できるはずがない。



少し感傷に浸ってしまったので、駅までは走らないと電車に間に合わない時間だった。

私は急いで靴を履くと、勢い良く玄関の扉を開けて外に出た…



そして私がちょうど自宅前の道路に出ようとした時、右側から来た見慣れない黒い車が目の前に止まった。

不審に思いながらも、車を避ける様にして駅に向かおうとすると、中から見知らぬ男性に声を掛けられた。


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