最後の寺院を通り過ぎようとした時、鞄を抱きしめて足早に進む私の前に何かが飛び出してきた!!


「きゃあぁぁぁっ!!」


私はもう意識が飛んでしまうくらい驚いて、寺町中に響き渡るくらいの音量で叫んだ!!


しかしその叫び声に逆に驚き、飛び出してきたものはその場で小さくなった。


「な、なに…?」

よく見ると人だ。
しかも、この服は私と同じ基町高校の生徒…


「…ったく、驚いただろうが!!」

そのしゃがみ込んでいた生徒が、立ち上がりながら怒鳴った。


あ、あれ…この声は?


「江藤…」

「あ?
お前…小町か?」


突然寺院から飛び出して来たのは、なんと同じクラスの江藤だった。

江藤はズボンの埃を手で払いながら、驚いて落とした鞄を拾った。


「お前こんな時間にこんな所で、いったい何をやってるんだ?」


「何って…単に自宅に帰ってるとこよ。
江藤こそ、お寺なんかに何の用事なの?」


江藤は聞こえなかったのか、聞こえないフリをしているのかは分からなかったが無反応だった。


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