「ふぅ…」
私は大きく溜め息を吐いた。
時間的なことを考えれば、今から城ヶ崎さんの自宅やその近辺に話を聞きに行っても、怪しまれるだけで誰も話してなんかくれないだろう…
もう残された時間も敷くないのに、今日はここまでか…
私は借りた卒業アルバムを鞄に入れると、立ち上がった。
「亜由美、明日はどうする?」
「うん…
とりあえず、基町駅に8時で良いかな?」
この事件の核心に近付くにつれ、当然危険が大きくなる。
それに美玖の姉が見せた、あの反応も気になるし…
城ヶ崎さんの自宅には私が行き、2人には余り危険のない事をしてもらおう。
私は美玖の自宅を後にすると、すっかり暗くなった道を帰宅する事にした…
マンションの外に出ると薄暗い街灯が点いているだけで、街中とはいえ20メートル先が見えないほどの明るさだった。
しかも寺町は昼間の人通りは結構多いが、夜ともなれば寺院ばかりのこの町の交通量は極端に少なくなる。
私は背中を丸め、背後の気配に怯えながらも駅までの道を急いだ…
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