美玖の言葉に立ち上がると、廊下の反対側にある姉の部屋の扉を開けた。

「姉ちゃん…
ちょっと良い?」


「良いけど…なに?」

美玖が部屋の扉を30センチくらい開け、覗き込みながら声を掛けると、中から無愛想な返事が聞こえてきた。


「亜由美、良いって」
私は美玖に手を引かれて部屋に入った。

美玖の部屋とは全く違い、女性らしい調度品が並び大人っぽい香りがする…
その部屋の真ん中で、ベッドに寄り掛かりテレビを見ている、美玖の姉が目に入った。


「こんばんわ…」


私の声がした瞬間、美玖の姉は驚いてダラけていた姿勢を正し、苦笑いをしながら言った。

「あ、亜由美ちゃん…
どうしたの?」


「少し聞きたい事がありまして…」

私は美玖の姉に促され、扉付近のフローリングの床に座った。



「それで…
わざわざこんな時間に来るなんて、何か大事な話なの?」

美玖の姉が怪訝な表情をするのも無理はない。

いるかどうかも分からない友達の姉に会う為だけに、私がここまで来たのだから…


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