エレベーターを降り、左右に伸びる廊下を右に進み、美玖は2つ目の扉を開けた。
「ただいま~」
「おじゃまします」
廊下の突き当たりにある扉が開き、中から美玖の母親が出て来た。
飾り気のない明るい人柄で、見た目同様に豪快な母だ。
私は何度も会っているが、いつも温かく応対してくれる。
「あら、亜由美ちゃんいらっしゃい!!
遅い時間だけど大丈夫なの?」
「あ、はい。
すぐに帰りますから」
私は玄関で靴を脱ぎ、玄関から上がるとすぐ左側にある美玖の部屋に入った。
「ちょっとその辺に座っててくれる?
姉ちゃんがいるかどうか、見てくるから」
パタン…
相変わらず、とても女子高生の部屋とは思えないほど殺風景な部屋だ。
美玖らしいといえばそれまでだが、もう少し可愛らしい物があっても…
フローリングの上に置かれた2畳ほどの白いカーペットに座り、部屋の中を眺めているとすぐに美玖が戻ってきた。
「姉ちゃんいたよ!!
自分の部屋にいるみたいだから、行ってみようよ」
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