美玖の自宅は、学校から徒歩で約20分くらいの場所にある。

学校の正門とは逆方向に向かい、寺町と呼ばれる寺院ばかりが建ち並ぶ町並みを過ぎた場所にあるマンションだ。


美玖は毎日通り慣れているのかも知れないが、寺町は結構薄気味悪い場所で私はピッタリと寄り添う様に歩いた…



寺院群を通過すると、すぐに美玖の自宅があるマンションが見えてきた。

私は急かす様に歩くスピードを上げた。


「姉ちゃんがいれば良いけど、よく出掛けているからね」

マンションの暗証番号を押しながら、美玖がボソリと呟いた。

確か…
美玖の姉は、市内にある大学の学生だ。
金曜日の夕方ともなれば、遊びに行っている可能性は高い。


エントランスの自動ドアが開き、美玖の後ろに着いてエレベーターに向かった。

2基あるエレベーターのうち、1階で待機していた方に乗ると美玖が8階のボタンを押した。



日曜日には確実に降る雨。
もう実質的に残された時間は、あと1日しかない…

その間に私はミコに辿り着けるのだろうか。


.