私は通りから紺色の建物を見据え、意を決して駐車場を縦断し自動ドアを抜け中に入った。
耳に何重にも響くゲーム機の騒音と、何色ものチカチカと目に痛い電飾…
昼間だというのに、私と余り変わらない人達がゲームに夢中になっていた。
ゲームフロアーを見回すと、1階の左端にあるカウンターに制服を着た女性が立っている姿が見えた。
多分あそこが、カラオケの受付けになっているのだろう…
私はゲームセンターを横切り、そのカウンターに向かった。
「すいません。
ちょっとお聞きしたい事があるんですけど…」
私は、カウンターの中にいる女性スタッフに声を掛けた。
こういった場合、具体的に話をしないと、話を逸らされて全く相手にされない…
「3年前の6月にここで起きた、集団自殺の事について聞きたいんですけど…」
私の問い掛けに、笑顔で応対していた女性スタッフの表情が一瞬で真顔になった。
「集団自殺…
一体何の事ですか?」
.



