「彩香…」


もう一度名前を呼びながら、一歩一歩近付きベッドを覗き込んだ。


彩香は私達が病室に入って来た事さえ気が付いてない様子で、ぼんやりと窓の外を見ていた…


「彩香!!」

美玖が、少し大きい声で名前を呼んだ。


すると、彩香はようやく私達の存在に気付いたらしく、ハッとして私達の方に向いた。

「亜由美…
それに美玖……」


私達の姿を見て、みるみる彩香の目に涙が溢れてきた。


「彩香!!」

私と美玖はベッドに駆け寄り、両側からギュっと抱き締めた。


「大丈夫…
彩香には私達がついているから……ね」



彩香はしばらく、そのままの状態で声を出して泣いていた…


そして、ひとしきり泣いて落ち着いた後、思いがけない事を言った。


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