市民病院に着くと、入院患者がたむろするロビーを抜け、奥に入って行った。

彩香の病室は、本館の2階にある外科病棟だと聞いていた。


「2階だったよね?」

私は美玖とエレベーターに乗り、彩香の病室に向かった。



外科病棟に着き、ナースセンターの前を通り過ぎると、病室の名札を見ながら奥へと進んだ。


「あったよ、ここ」

美玖が名札を指を差しながら、私の肩を叩いて言った。


コンコン…


中からはまったく何の反応も無い…
それでも私は、病室の扉をゆっくりと開いた。


そこは南向きの明るい個室で、奥の窓際にベッドが置いてあった。

ベッドの手前に立てられたついたてから、彩香の足だけが見えていた。


「彩香……」

私達は彩香がどんな状態なのか不安で、ビクビクしながらベッドに近付いて行った。


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