あたしの心、人混みに塗れて

あたしが言い訳をしないことと、言い当てられたらしいことが相まって、渡辺さんの顔がみるみるうちに真っ赤になっていくのがわかった。


なるほどね。事情は概ね理解した。


渡辺さんが蒼ちゃんに告白したけど振られて、納得いかなかった渡辺さんが日向さんを連れて蒼ちゃんを尾行したらあの場面に出くわしたと、そういうことか。


確かに、渡辺さん、見た目的に好きな人とか簡単に諦めなさそうだしなあ。なんか納得。


「と、とにかく、あなたは川島くんの彼女なの? どうなの?」


真っ赤な顔のまま、さっさと答えなさいよと言わんばかりにあたしを睨みつけている渡辺さんにあたしは思わず違うと首を横に振ってしまった。


「……あっそ」


渡辺さんはあたしを睨みつけたまま、あたしの前から立ち去り、日向さんもそれに続いた。


……帰ったらどついてやる、あのオカマ(悪口)。


たぶん、蒼ちゃんはあの時、あの二人がつけていることをわかっていたのだ。だから、あたしにキスしたあと過激なことを言ってカップルらしさを高めた。あたしの反論だって、捉えようによっては照れ隠しとして取れたはずだ。


自分を守るために。あたしがその二人と同じコースであるとはおそらくわかっていなかったであろう。自分がよければそれでいいのだ。


あの野郎。どうしばいてやろうか。