あたしの心、人混みに塗れて

あたしは内心焦って顔をしかめていた。焦っているのを悟られたくなくて、あたしは軟骨揚げに手を伸ばしていた。


「私達、この間見たのよ。コンビニから出てきた川島くんと相模さんが相合い傘をして、二人がキスをしてたとこ」

「…………あ」


思わず声をあげて、しまったと思ったときには遅かった。


あれを見られていたのか。


不本意だったとはいえ、あれを見られてしまっては疑われても仕方ないと思う。


くそっ。蒼ちゃんがコンビニで傘を買ってれば済んだ話だったのに。


とはいえ、蒼ちゃんにキスされて嫌な気がしなかったのも事実だ。


……………待てよ。


「……もしかして、どっちか蒼ちゃんに告った?」


普段人に問い詰められると思考が停止するあたしだけど、この時ばかりは冴え渡っていた。