あたしの心、人混みに塗れて

「ねえ、相模さん」


あたしが自分の世界へトリップしている間に世界は動いていた。


視線を上げると、二人の女子があたしの前に座っていた。


どちらも見覚えがある。この二人はうちのコースの中で一番大きいグループにいる……………丸顔のボブの方が渡辺さんで、小顔でポニーテールの方が日向(ひゅうが)さん。


二人とも可愛らしい顔をしているのに(二人の顔が同じに見えるのは、同じような厚いメイクのせいだろうか)、今ばかりはあたしに挑戦的な視線を向けていて、せっかくの整った顔が台なしだと田舎のおばあちゃんなら嘆くだろう。あたしの孫がこんなだったら絶対嘆いている。


「……はい」


あたしはあまり声を発さないように心掛けた。余計なことを話して蒼ちゃんにまで伝わったら最悪だ。


そう思ったのは、さっき蒼ちゃんの傍にいた中にこの二人もいたからだ。