「……とも」


あたしの部屋に蒼ちゃんがひょっこりと顔を出したのは、二人がお風呂から上がった後だった。


夕食の席でも、蒼ちゃんは優しい表情だったけど、どこかよそよそしくて二人の間に会話はほとんどなかった。


何となく、何を話せばいいのかわからなかった。


「今日、一緒に寝てもいい……?」


眉尻を下げて、それでも笑う蒼ちゃんの表情は痛々しかった。


そんな蒼ちゃんをほっとけるわけがない。


「うん、いいよ」


あたし達にやましいことは何一つないし、昔から蒼ちゃんはたまに甘えてくるのだ。


大学に入ってからは初めてだけど。


あたしがベッドの横を撫でると、蒼ちゃんはふにゃりと笑ってあたしの隣に腰を下ろした。


「あたし、眠いから寝るよ」

「うん」


あたしがベッドに潜り込むと蒼ちゃんも一緒に潜り込んでくる。


「とも」


いつもより密着する布団の中で蒼ちゃんがあたしを抱きしめる。


「……さっきの、とも、怖かった?」


抱きしめながらおでこをこつんとくっつけてきた。


蒼ちゃんの目がわずかに潤んでいた。


蒼ちゃんがまさか昌人に突っ掛かるなんて。


「……びっくりした」


あたしはゆっくりと口を開いた。