「……一週間前に彼氏ができました」


アイスティーのグラスから手を離して、千晶は椅子にきちんと椅子に座り直してそう言った。


「最近千晶の周りに男がいたこと知らないんですけど」

「復縁したのよ」

「え、元彼と?」

「別れた後も連絡は取り合ってたから。一週間前に急に戻らないかって言われたの」

「……へえ」

「智子、あんたは一発で親友を信じられないの?」

「だって千晶、あたしのこと影で悪口言ってる雰囲気ムンムンするんだもん」

「誰も知らない智子のことなんか喋らないわよ。それに、そこまで智子のことなんか考えてないし」

「……そうですか」


それ、なんかあたしが悲しい人みたいじゃないですか?


「ほんとに急に告白されたのよ。まだ好きだからもう一度やり直さないかってね」

「千晶は?」

「私は正直吹っ切れてたわよ。振ったのはあっちなのにね」

「でも付き合うんだ」

「智子、世の中には本当に好き合って付き合うカップルなんてごくわずかなのよ。残りはどちらかがどこかで妥協して成り立つの。どっちも妥協してるカップルもいるけどね」

「わかってる」


それは知っている。でも、千晶には本当に好きな人と付き合って欲しいと思うのだ。


でも、これほど綺麗にした千晶は、きっと彼氏のことが好きなのだろう。それが例え恋愛感情でないにしろ。