あたしの心、人混みに塗れて

「いつ付き合い始めたの?」

「んと……先週末」

「まだ三日か。手繋いだ? って聞くまでもないか。付き合うまでに既にキスまでしちゃってるもんね」

「そうだね。普通だったら絶対にありえない」

「じゃあ、既にエッチもしちゃってるの?」


あたしは飲みかけの紅茶を思わず吹き出しそうになった。なんとか堪えたけど、紅茶が器官に入ってしまってむせた。苦しい。


「ち、千晶!」

「あれ、その反応はしたの?」

「してない!」


そういう雰囲気にはなった(たぶん)けど、実際には前戯すらやってない!


「なーんだ。川島くんのことだから、付き合った初夜に手出すかと思ったのに。やっぱり智子がまだ処女だからかなあ」

「……それらしきことは言ってたかも」

「そっか。じゃあ智子、大事にされてんだ」

「そうなのかなあ」

「そうよ。この幸せ者」


ふふっと千晶が笑ってチーズケーキにフォークを刺した。


あたしはアップルパイをフォークで小さく切って口に入れた。そういえば、そろそろりんごの季節だから蒼ちゃんの家から大量のりんごが送られてくるかなあ。蒼ちゃんのアップルパイ食べたいなあと思いながらアップルパイを飲み下した。