「ね、とも。聞いていい?」

「……ん」

「俺のこと、嫌い?」


あたしは間髪入れずに大袈裟なくらい首を大きく横に振った。あたしは気持ちをあまり言葉で表現できない。蒼ちゃんはあたしの目尻にそっと唇を落とした。


「ありがと」


蒼ちゃんの唇はあたしの頬に下りてきて、そして滑るようにあたしの唇と重なった。重ねるだけの優しいキスだった。


「俺も、ともが好きだよ」


おでことおでこをくっつけて、蒼ちゃんはそう言った。


「……それって」

「どういう意味なんて聞かないでよ。とものことはちゃんと一人の女の人として見てるんだよ、ずっと前から」

「……嘘でしょ?」

「ほんと。中学の時、いやもう小学校後半からかな、ずっととものことそういう目で見てきた。だから一緒に暮らすって決まったときまじで拷問だって思ったよ。一緒に暮らし始めてからすぐにともには彼氏ができたし、手出さないようにするのまじで大変だったんだからね」

「……手出してたくせに」

「別れた後からでしょ。ともは嫌だった?」

「……聞かないでよ」


急に恥ずかしくなって目を伏せると、蒼ちゃんがふはっと笑った。


「ともって案外照れ屋だよねー」


ニコニコ笑う蒼ちゃんがあたしを抱きしめた。


「……セフレのこと、誰かに聞いたの?」

「千晶から……聞いた」

「…………そっか」


ぎゅうっと抱きしめる力を強めた蒼ちゃんがあたしの肩に顔を埋めた。