「ごめんね、どんなもんか見たかったから寝てるともにつけちゃった」

「……寝込み襲わないでよ。下に母さんも双子もいるのに」

「じゃあ、誰もいなかったら襲っていいの?」

「そういうことじゃなくて……」


蒼ちゃんも大概過激だ。ニコニコしながら女に言うことか。仮にもあたしは蒼ちゃんが好きなのに。あたしを女と見てくれてるんじゃないかって、ほんの少しだけ期待してしまうじゃないか(襲われたいかと聞かれたら即NOって答えるけど)。


絶対母さんの影響だとあたしは思っている。


「でも、やっぱりサファイアも捨てがたかったなー。すごい綺麗で、絶対ともに似合うと思ったのに」

「数字の桁が2つ以上違うでしょ。あたしこそ、蒼ちゃんの誕生日にはピアスしかあげなかったのに」

「んーん。すごい嬉しかったよ。それにねとも、4月の誕生日って知ってる?」

「え、ダイヤモンドでしょ?」

「これもね、海外だと水晶も入ってるんだって。日本の誕生石って、見えっ張りな日本人があえて高級な石ばっかり選んだってよ。情けない話だよねー」


くっくっと笑いを漏らす蒼ちゃんは、自分の耳たぶを引っ張ってピアスだらけの耳をあたしに見せた。そこには半年前にあたしがあげた水晶のピアスもついている。あれ以来、蒼ちゃんは毎日のように目立たないピアスをつけてくれている。


「だから、水晶も俺の誕生石なの。とも、知らなかったでしょ?」

「全然」

「そんなとこもともらしいよねー。ね、とももさ、毎日つけてよね。虫除け」

「……虫?」

「んじゃ、俺はともママのお手伝いしてくるね。早く下りてくるんだよ」


蒼ちゃんはあたしの腕を掴んで額に唇を落とした。一瞬であたしから離れた蒼ちゃんは唇を舐めながら部屋を出て行った。


蒼ちゃんが触れた、額と腕が熱を持って痺れていた。