『えっ、じゃあ、君がともの唯一の友達?』

『そう』

『そっかあ。ごめんねえ。とも、経済の雰囲気に合わないらしくて、こっちで友達全然いないの。家じゃ俺がいるからいいけど。迷惑だったらごめんね』

『全然迷惑じゃないよ。私も似たようなもんだし。大丈夫』

『なら、よかった』


ふわっと笑った川島くんから目を逸らして、私も自分のグラスにウーロン茶を注いだ。


『ねえ、智子と同居してるんだよね』

『してるよお』

『二人ってさ……あの、その、付き合ってるとか、そういう……………』


私が口ごもっていると、川島くんはふはっと笑った。


『ないよ。ともは俺のことを幼なじみとしか思ってないから』

『じゃあ、川島、くんは…………』

『一応、俺も男だからね』


川島くんがくすっと笑ってみせる。


『…………あの』

『んー?』

『智子を、傷つけることだけは、しないでください』

『ふは、なんでいきなり敬語?』

『真剣ですよ、私』


私がじっと川島くんを見ると、川島くんも真顔になった。


『智子を、よろしくお願いします』

『…………うん、わかった』


その時、一番大きな輪から『川島ー! 何サボってんだー!』と大声がして、川島くんは『じゃ、行くね』と笑って、私の頭を撫でて戻って行った。