悟さんの友達ってことは5つ年上ってことだよね…?
藤堂さんからしたら、私は子供に見えるかもしれない。
けど、私も少しだけ背伸びしてみたいと思ったんだ。
「じゃあ、俺がとってあげる」
藤堂さんはそう言うと、屋台のおじさんにお金を払って水槽の前にしゃがみこむ。
それから、ゆっくり水の中に網をいれたかと思ったら、サッとすくいあげて、入れ物の中には真っ赤な金魚が2匹。
「すっごーい…!!」
あっという間の出来事。
金魚のはいったビニール袋を私に差し出して
「はい」
って笑顔を見せる。
きゅんっていった気がした。
こんな気持ちもスゴく久しぶり。
「ありがとうございます!」
お礼を言って、受け取ると
「どういたしまして」
って、さっきよりも優しく微笑んでくれた。
コレが今日だけでもいいから、もう少しだけ続いてくれないかな…。
「風が涼しくなってきたな。寒くないか?」
「そう言えば…」
藤堂さんに言われて、少し寒さを感じた。
汗かいたせいかな…。
「どうする?寒いなら帰る?」


