その瞳が正直怖い…。


歩きながら私はまた下を向いた。



「悟、今日別行動にしないか?」



突然の提案は藤堂さんの声。



「別にいいけど…」



悟さんが言い終える前に、私の腕は引っ張られていた。



「じゃあな」



と空いているもう片方の手をヒラヒラさせて、藤堂さんは2人に後ろ向きに手を振る。


わけがわからず混乱する私なんかお構い無しで歩く藤堂さん。


さすがに歩幅が間に合わなくて、転びそうになる。



「あの…!」



息切れしそうなのを必死に抑えて、藤堂さんに声を掛ける。


歩くのを止めて私の方へ振り向くと、握られていた私の腕から圧迫感がなくなった。


握られていたその場所は、少しだけ赤くなってる。



「強くし過ぎたな…ごめん。痛いか?」



私が首を横に振ると、藤堂さんはホッと息をついた。



「ん、手貸して」



差し出された手は私の手よりずっと大きくて、重ねるだけでスゴくドキドキする。


またフワッと甘い匂い。



「藤堂さん…お砂糖の匂いがする…」



「ああ、今日仕事だったからね。はい、着いたよ」