私が不思議そうに見ていたせいか、藤堂さんは
「今日のこと、なんにも聞いてない?」
って笑いながらきいてきた。
わけがわからなくて頷くと
「じゃあ、今日はヨロシクね」
って笑顔で藤堂さんは言う。
やっぱり状況が飲み込めてない私は、とりあえず頷く。
その直後、後ろの方から私を呼ぶ声がきこえた。
振り向けば、今度は間違いなく愛の姿があって私はホッと息をつく。
白地にピンクや赤の桜の花が綺麗に咲く浴衣。
明るい栗色の短めの髪で小さなお団子が2つ。
いつも以上に可愛い愛の隣には悟さんがいた。
「碧依早かったな。優月ちゃん、こんばんは」
悟さんに挨拶されて、私も慌てて返す。
「お前らが遅いんだよ。つーか、ちゃんと説明しといてくれよ。俺最初怖がられちゃったじゃんかよ」
藤堂さんは、さっき私相手に話していた時とは違う口調で、悟さんに言った。
やっぱり、私が怖がったの気付いてたかぁ…。
うぅ…なんか胸に突き刺さる言葉だなぁ……。
少し落ち込む私に気付いたのか、藤堂さんは頭をポンッてしてくれた。


